ロボットと。

空想科学冒険小説

 

3. 帰宅

 砂煙を上げながらホバー・カーゴが高速で移動している。

 行く先には外壁に守られた都市が見える。

 

 が、目的地はその都市ではないようだ。

 もっと手前。

 小さなドームの前で停まると、降りてきた防護服は荷台へ回り、ロボットを降ろした。

 

 引きずったままドームの入り口へ。

 

 扉を開け、引きずって中へ入る。

 ロボットを置くと、扉を閉める。

 防砂のためかエアロック構造になっているようだ。

 

 エア・シャワーで砂を落とすと、内側の扉を開け、またロボットを引きずって中へ。

 

 ロボットを部屋の真ん中に置くと、ハンガーへ行き防護服を脱ぐ。

 中から出てきたのは少年。

 

 部屋の隅には大量のロボット部品が置かれている。

 

 その中の一つの旧型ロボットが少年に向かって「お帰りなさい、タカシ。」と声をかける。

「ただいま、バート。今日は思わぬ収穫があった! ロボット、拾った。」と少年。

「それはよかったですね。」

 

 少年は壁際のコンピュータへ向かうと作業を始める。

 

「何をしているのですか?」

「・・・」

「まさか、またですか?」

「・・・」

「私は、あまり気分がよくありません。」

「・・・」

 

 しばらくすると「よし!」と呟き、モニタを見つめたまま旧型ロボットに「じゃあ、バート、おやすみ。」と話しかけ、エンターキーを押した。

 「バート」と呼ばれた旧型ロボットの目(にあたる部分)から光が消え、首を前へ傾けて動きを止めた。

 

 コンピュータから伸びるケーブルは「バート」に繋がっているようだ。

 

 タカシは拾ってきたロボットの後頭部のくぼみに器具を差し込んだ。

 頭部が開く。

 

 タカシはバートところへ行き、彼をうつ伏せにした。

 バートの後頭部は開いている。

 コンピュータからのコードはこのバートのブレイン・ユニットに繋がっていた。

 タカシはバートからブレイン・ユニットを抜き取ると、拾ったロボットの後頭部にそれを差し込んだ。

 

 拾ってきたロボットを起こし壁に立てかけ、またコンピュータの前へ。

 何やらキーをタイプし、エンターを押すと、拾ってきたロボットの目(にあたる部分)が光り、しばらくすると「おはようございます、タカシ。」と喋った。

 

「よかった。壊れてはいないようだね!」

「はい、腕や脚以外はちゃんと機能しています。」

「じゃあ、バート、おやすみ!」

「あっ、待って・・・。」と言いかけたバートは、頭を前に傾けて停止した。

 

 タカシは、拾ってきたロボットからブレイン・ユニットを抜くと、それを持ったままコンピュータのところへ。

 コードに繋がったブレイン・ユニットを横に置き、モニタへ向かって作業を始めた。

 

「なかなか良いコードですね。」

「何をいまさら、バート。」

「ここには一人で住んでいるんですか?」

「えっ?」

 

 机の上には抜いたままのブレイン・ユニット。

 旧型ロボットのバート(の身体)は停止したまま。

 

 声の方を見ると、ブレイン・ユニットが抜かれたままの拾ってきたロボットが起動していた。