1. 砂漠にて
照りつける日差し。見渡す限りの砂。空と地の境目も揺らいで定かでは無い。
この場所は、生きることを拒む。見渡す限り、動くものは無い。
おや?
そうでもないようだ。遠くに、遠くに、何かが動いている。
なんだ?
何かが這っている。
トカゲか?
大きな芋虫か?
ん? 人か?
いや、ロボット・・・ロボットだ。
元々は白かったであろうロボットが腹ばいで進んでいる。
どうやら、片腕しかないようだ。両足もちぎれてしまっている。
残った左腕を前へ伸ばし、肘から先で体重を支え、体を引き付けるように前へ進んでいる。
どこから来たのだろうか。どこへ向かっているのだろうか。いつからこうしているのだろうか。いつまで続けるのだろうか。
止まることなく、休むことなく、前へ進む。
陽が高くなり、やがて陽が沈んでも、前へ進む。
昼の暑さが嘘だったかのように、凍てつく夜の間も、前へ進む。
夜が明け、陽がのぼろうと、前へ進む。
また陽が沈み、朝が来ても、前へ進む。
来る日も、来る日も、前へ進む。
どのくらいの日が過ぎただろうか。夕日の中、突然、動きが止まった。
顔をあげ、動かない。遠くを見ているのか?
何かが近づいてくる。人か?
防護服だ。
防護服を着ているということは、多分、人であろう。
防護服はロボットのすぐ前まで近づくと、立ち止まり、じっと見下ろしている。
ロボットは、防護服を見上げている。
その時である。
スパーク音と共に、稲妻がロボットを包み込む。
のけぞったロボットの身体が崩れ落ちる。
その後ろには電磁ロッドを構えた男が立っていた。