ロボットと。

空想科学冒険小説

 

2. 倒れたロボット

 防護服と男、その間に倒れたロボット。

 

 男は電磁ロッドを持ちかえると柄の部分の先端に尖った器具が現れた。

 それを倒れたロボットの後頭部のくぼみに差し込むと、「カチッ!」という音と共に頭部が開き、内部の機械があらわになった。

 男はロボットの頭部からブレイン・ユニットを抜き取ると、それを自分のバッグに入れた。

 

 男が立ち上がり後ろを向いた時、

「おじさん!」、防護服が声をかけた。

 

 男は一瞬動きを止めたが、そのまま行こうとする。

「おじさん!」

 

 男はまた一瞬動きを止めたが、そのまま行こうとする。

「おじさん! おじさん! おじさん!」

 

 男は突然振り向くと、

「おじさんじゃねぇ!」と怒鳴った。

 二人の動きが止まる。

 

「ねぇ。」

「何だぁ!」

「そのロボット、もらってもいい?」

「俺のじゃ、ねえよ。勝手にしろ!」

「・・・」

 

「おい、このあたりは汚染されてんのか? そんなもん、着てっけど。」

「汚染はないよ。暑いから、エアコンがわりさ。」

「ふーん。変なヤツ。じゃあな!」

 

 男は振り向き、何かの合図をすると、無人のホバー・バイクが現れ、間も無くそれを追いかけるように数人の男たちがホバー・バイクに乗って現れた。

 

 ほどなく、爆音と共に小型輸送機が着陸。荷室のハッチが開く。

 男はホバー・バイクにまたがると、集団と共に小型輸送機に乗り込む。

 と同時に小型輸送機はハッチを閉めながら上昇を始め、飛び去った。

 

 砂の巻き上げがおさまる。

 砂の上には、防護服と壊れたロボット。

 

 防護服はロボットをそのままに、もと来た方へと立ち去った。

 砂の上には、壊れたロボットのみ。

 

 しばらくするとホバー・カーゴに乗って防護服が戻ってきた。

 ロボットの前までくると、カーゴは向きを変え、停まった。

 防護服はカーゴを降りて、ロボットの前まで来て見下ろす。

 

 そして手を伸ばし、頭部のボタンを押す。

 小さく「ピー、ピー、ピー、ピー。」と4回警告音が鳴ったあと、頭部が閉まった。

 ロボットを仰向けに転がし、背中側から抱える。

 引きずりながらカーゴの荷台にロボットを乗せる。

 運転台に寄りかかるように座らせバンドで固定し、防護服は運転台へ。

 

 ホバー・カーゴは砂を巻き上げながら浮上し、その場を去った。

 その先には都市が見える。